<内視鏡(胃カメラ・大腸カメラ等)>

<日帰り内視鏡手術について>
当院では、病変サイズ等を考慮した後、食道腫瘍、癌に対するAPC、EMR、ESD、胃腫瘍、癌に対するAPC、EMR、ESD、大腸ポリープ、癌に対するEMR、ESD(大腸ESDは自費)、その他、EVL、異物除去術、胃瘻造設術、胃瘻抜去術が可能です。下記をご参照下さい​。
日帰り内視鏡手術(APC、EMR、ESD、EVL、異物除去術)は、内視鏡検査の延長です。お腹に傷をつけることなく(腹腔鏡と異なり、お腹に穴も開きません)、食道や胃、大腸の長さが短くなるものでもありません。治療後の傷が治れば、治療前と変わらない生活ができます。ちなみに​内視鏡で治療ができる段階の早期胃癌はPETではわかりません。
<内視鏡について>
私の特技と書かせていただいている内視鏡についてです。
外科の先生が行う腹腔鏡手術も鏡視下手術と言うので混同されますが、通常は内視鏡は胃カメラ、大腸カメラのことを言います。
それぞれ上部消化管内視鏡、下部消化管内視鏡と言います。
主として内科医の中でも消化器内科医が扱います。
内視鏡と言う言葉も広まってきましたが、胃カメラ、大腸カメラの方がわかりやすいと思います。問診、採血等がありますので、基本当日の検査は緊急時以外行いません。
<上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)について>
苦しくない胃カメラ、安心、安全な胃カメラと書いてあるのをよく見ませんか?
やったことがある方はわかると思いますが、胃カメラは苦しいと思います。
実際私も受けたことがありますし、患者さんがどれだけ苦しいか自身で実験しました。
風邪の時や、大腸カメラ(胃カメラより太い)を口から挿入した時、喉に麻酔をかけずに施行した時は本当に苦しかったです。
クリニックは「鎮静剤を使用して、全く苦しくない胃カメラをします」と書いてあるところが
ありますが、個人的には鎮静剤は使いません。
理由は呼吸が止まったり、血圧が下がったりする副作用があるからです。
副作用の頻度は低いですが、使用しなくて済むのでしたら、使用しないというのが私の考えです。鎮静剤を使用すると、当日車の運転もできません。
鎮静剤を使用した方がいいのは、嘔吐反射(げっぷ等)が非常に強く、喉の麻酔をかけただけでもオエオエして検査にならない方、鎮静無しで検査するなら二度と検査を受けたくないという方が対象です。
時間が長くなることが予想される内視鏡治療の時は最初から鎮静剤を使用します。
胃カメラを入れる時に​患者さんに「飲み込んで下さい」と声をかけることがにありますが、通常はこちらが勝手に挿入します。なぜなら飲み込むとむせて苦しくなるからです。
その後は、検査中に苦しさを軽減できるような内視鏡操作、声かけを施行しています。
​胃カメラは見逃しが多いです。しっかりと検査、診断できる医師の胃カメラを受けましょう。
大きな病院だから、有名な病院だから、健診専門の病院だからと言った理由で選ばないようにして下さい。​病院にもいろいろな医師がいますよね。
​また、内視鏡専門医だから安心というわけではありません。
撮影(検査)のトレーニングを受けていない専門医もいます。
反対に、専門医を持っていなくても能力の高い先生はいらっしゃいます。
<下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)について>
一方、大腸カメラは胃カメラよりつらくありません。
みんながみんな楽なわけではありませんが、通常の体型の方で、お腹の手術をしたことが無い方、腸が長くない方は、検査をする医師が上手であれば苦しくありません。私の場合、検査開始から盲腸(一番奥)まで到達する時間を計測しているのですが、2分10秒くらいが多いです。3分はかからないことが多いです。下剤もきれいに流れ出ており、検査しやすい体型の方は1分30秒以内が多いです。最短は46秒です。しかし、5分かかっても入らない患者さんもいらっしゃいます。残渣が多く、下剤も腸の中に残っている方、極度に痩せている女性の方、非常に力が入っていたり、手術後のひどい癒着がある患者さん等です。しかし、癒着がある患者さんでも基本的に麻酔は使用しません。必要が無いと思っています。麻酔を使用するとその日の車の運転ができなくなりますし、胃カメラの項目で書きましたが、使用しなくて済むのでしたら、使用しないというのが私の考えです。​大腸カメラは挿入時間を競うものではありませんが、挿入時間が早いということは、楽だということです。患者さんがものすごく痛がっているのに挿入時間が早いというのはありません(全身麻酔をかけて無理に挿入したら早いかもしれませんが、危険です)。大腸は襞(ひだ)があり、見逃しが非常に多いです。AI(人工知能)でも写っていない部位や、水没している箇所は判断できません。しっかりと観察しながら大腸カメラを抜いてくる観察技術が必要です。観察は数分では終わりません。数分では見きれないからです。​2リットル近くの下剤は大変ですが、前回の検査で残渣が多かった方は、検査の質を高めるために倍量の下剤(患者さんは大変ですが)、検査食等が必要と思います。​当院では早朝に下剤を飲んでいただければ、午前中に大腸カメラを施行することも可能です。
 
<​バリウム検査について>
以前多数施行されていた胃バリウム検査ですが、現在は内視鏡に移行していっています。正直、まだ胃のバリウム検査を受けている方がいるという状況に対して個人的に非常に憂慮しています。まず、バリウムの検査を上手に行える医師、技師が少ないです。さらにその撮影された画像を的確に読影(診断)する医師が少ないです。バリウム検査で引っかかったら、胃カメラに誘導されますよね?精度は胃カメラの方が良いということはわかっていただけていると思います。放射線被曝の問題もあります。バリウムが原因で、便秘になってしまう方もいます。
スキルス胃がんの記事がyahooニュースに以前掲載されていました。胃カメラを受けていたが、発見されなかったようで、「バリウムをやっていれば発見できたのに」との医師のコメントがありました。スキルス胃がんも胃カメラでわかりますよ。反対に拡大機能付きの胃カメラで観察しないと診断できない早期胃がんは、バリウムでは間違いなく診断できません。早期胃がんは凹んだ形(Ⅱc)が多いのですが、凹んでいない平らな癌もあります。バリウムでは周囲の粘膜と比較して同じ高さになるので、指摘できません。以上より、胃のバリウム検査は受けないで、胃カメラを受けた方が良いと思います。それでも、市の検診で安く受けられるからと言われる方がいらっしゃいますが、胃のバリウム検査で異常がないと言われたら胃カメラをする方はいないですよね?胃カメラをする時期が遅くなってしまうということです。
​大腸のバリウム検査については、大変上手な先生が検査、診断すれば病変発見率は非常に高くなると思います。被曝の問題、バリウムによる便秘の問題はありますが。
大腸は襞が多いので、大腸カメラでは死角になる部分が多いからです。
しかし、ポリープ等があった場合、結局大腸カメラをすることになります。
下剤を飲むのであれば一度で済む大腸カメラをお勧めします。
大腸カメラだと、小さなポリープはその場で治療できます(入院無し、日帰り治療)。
​当院の場合、他のクリニックでは大きな病院へ紹介するような大きいポリープも日帰りで治療しています(最大径42㎜)。
内視鏡治療について>
APC(Argon plasma coagulation):アルゴン・プラズマ凝固:内視鏡的焼灼術。
病変を取ってくるのではなく、そのまま焼いてしまう治療です。日帰り治療可能です。
早期がんであれば十分に治療できますが、後で説明するEMR、ESDと比較すると、同部位での再発(局所再発)の率が上がります。
高齢で血液サラサラのお薬(抗凝固薬、抗血小板薬)を服用されている早期がんの患者さんには良い適応と思います。
EMR(Endoscopic mucosal resection):内視鏡的粘膜切除術。
病変を生理食塩水で浮かせて、輪っかをかけて切除する治療法です。
胃ポリープ、大腸ポリープに適応されることが多いです。日帰りでできることが多いです。
少なくとも治療当日はお風呂、お酒は禁止です。
ESD(Endoscopic submucosal dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術。
EMRより高度な技術が必要な治療法です。サイズが大きい病変にも対応できます。
粘膜より下の層(深い層)を剥いでいくので、少し進んだ(進行した)病変にも対応できます。取った病変を顕微鏡で診てもらい(病理診断)、追加で外科切除が必要か判断します。
1cm以下の大腸NET(以前のカルチノイド)にも適応があります。
当院では病変サイズ等を考慮した上で日帰り大腸ESDを施行できますが、自費になります。
EVL(Endoscopic variceal  ligation):内視鏡的静脈瘤結紮術~ゴムバンドを用いて、食道静脈瘤の治療をします。
​内視鏡を用いて、食道内、胃内の異物を取り除く治療です。
内視鏡を用いて、胃に直接栄養を入れることができるようにする手術です。
<胃瘻抜去術>
必要が無くなった胃瘻を取り除く手術です。
<内視鏡治療個人成績>群馬県立がんセンター勤務時のみ
 
(スクリーニング検査の胃カメラ、大腸カメラ、大腸EMRは群馬県立がんセンター勤務前の
方が年間症例数は多いです。)
ハイボリュームセンター(総合病院や、がんセンター等の治療件数が多い病院)は当然症例数は多くなりますが、治療に携わる医師も多くなるので、一人当たりの件数は少なくなります。​下記は私個人のデータです。一人当たりの件数が非常に多く、合併症率が非常に少ないのが特徴です。
<2012年4月6日~2019年10月8(7年半)>
食道APC:62件
胃APC:67件
偶発症:0件       
​食道EMR:10件
胃EMR:25件
大腸EMR:1398件
偶発症:大腸EMR後出血3件
下咽頭ESD:3件
食道ESD:59件
胃ESD:419件
大腸ESD:425件
偶発症:食道ESD術中穿孔1件、胃ESD術後出血7件、胃ESD術中穿孔1件、大腸ESD後出血1件
偶発症は下記のように学会で報告されていますが、私のこれまでの実績では、胃のESDの術中穿孔率は0.24%、後出血率は1.67%、大腸EMR、ESDともに術中穿孔率は0%、後出血率はEMRで0.21%、ESDで0.24%と学会報告よりも非常に低い偶発症発生率となっております。
<参考>
早期胃癌に対する内視鏡的切除(ESD:99.4%)が行われ、偶発症である後出血の頻度は4.4%、術中穿孔率は2.3%であったと報告されている。
Japan Gastroenterological  Endoscopy Society 61: 2397-2408, 2019(日本消化器内視鏡学会誌)
偶発症の頻度は、大腸EMR、ESDで、それぞれ術中穿孔率0.58~0.8%、2~14%、後出血率1.4~1.7%、1.5~2.8%と報告されている。
Japan Gastroenterological  Endoscopy Society 61: 1323-1344, 2019(日本消化器内視鏡学会誌)

© 2019 

​山下内科クリニック

048-573-6111