どのレベルで安心と言えるか難しいところですが、普段の診療からみると、あきらかに項目等が足りません。当然全ての疾患を網羅するわけではないので仕方がない部分はあります。かかりつけ医に相談し、必要があれば追加してもらいましょう。
市や会社の健康診断にもいろいろ種類がありますが、一般的な項目は採血、検尿、胸部レントゲン、心電図となっていると思われます。まず、採血の項目ですが、末梢血（白血球や貧血の有無）、肝機能のAST、ALT、γGTP、脂質のHDL、TG、LDL、血糖値のグルコースが多いです。消化器内科でよく検査するBil、ChE、AMYが入っていません。また、内科で一般的に採血されるCre（腎機能）も入っていません。男性でお酒飲みの方はUA（尿酸値）もチェックした方がいいでしょう。オプションでついていることが多いですが、HbA1c（糖尿病の指標）もあるとよいと思います。
次に胸部レントゲンですが、小さな肺癌を見つけることは難しいです。本当に早期で見つけたいのであれば胸部CTが望ましいと思います。心電図は被曝もありませんし、不整脈がないかどうか等チェックできるためおすすめです。
健康診断は全ての病気を見つけるためのものではありません。例えば定期的に健康診断を受けていて、貧血が進行している等のことから精密検査を施行して病気の発見につながるといったメリットはあります。
​もう一度お話ししますが、症状、気になることがある方は、かかりつけ医に相談し、検査の追加をしてもらうのが良いと思います。